講 師:佐藤 寛之(沖縄こどもの国)
開催日:令和3年6月6日(日)前編、13日(日)後編 全2回11:00~12:00
受講者:一般県民(ライブ配信視聴者) (22名)
場   所:沖縄こどもの国より配信

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が世界自然遺産への登録勧告を受け、小さな琉球諸島の自然がなぜ貴重なのか?なぜすごいのか?を琉球列島の成り立ちや位置、気候、生物の分布境界線等の解説を行い、沖縄の自然の価値を知ってもらい環境保全への興味関心を引き出す事を目的にライブ配信による連続講座を実施しました。

前編では、「何がすごい⁉琉球列島」をテーマに琉球列島は、九州と台湾の間(1200km)に挟まれた大小200あまりの島嶼からなる弧状列島で、日本全体のおよそ1%の面積であり、その中に両生類で見てみると日本全体で確認されている内の29%(95種の内28種)が生息し、96%(27種)が琉球列島の固有種である事などを紹介しました。また、琉球列島は生物相により3つの地域(北琉球、中琉球、南琉球)に分かれ、それぞれの特色ある生き物を比較することで島の形成時期を特定することができ、このように琉球列島は、狭い地域の中で島ごとに自然環境のちがいがあり生き物の種類が多く、地域によって全く違う由来の生き物がおり、そこにしかいない生き物(固有種)が多いなど世界的にも希少な場所である事を『イリオモテヤマネコ』のはく製標本や『リュウキュウヤマガメ』の生体標本などを見せながら紹介しました。

後編では、「何ですごい⁉琉球列島」をテーマとして、琉球列島は北緯20~30度にあり緯度的に気候分布としては乾燥地域であるが、暖かい海流(黒潮)の影響により高温多湿の気候となり、乾燥地域では生きていけない熱帯地域に起源を持つ生物種の北上や温帯地域の生物種の南下が可能となりました。また、かつては中国大陸と陸続きだったところが、次第に島嶼化していき、島に取り残された生き物たちが昔の姿を維持する事が出来たり、島ごとに異なった進化を遂げることで生き物の種類が多くなっていきました。このように地理的、地質的時代背景が狭い地域に多くの生き物が存在する要因となっていることなどをカメの生体標本やはく製標本、島ごとに異なるハブの模様の画像などを見せながら紹介しました。

ライブ配信の参加者からは、「前編、後編とも視聴しました。続編、続々編を楽しみにしています」などのコメントがあり、ライブ配信講座を通して沖縄の自然や生き物に対する参加者の興味関心が、一層高まった様子が窺えました。