講 師:藤井 晴彦(沖縄自然環境ファンクラブ)
開催日:令和2年2月5日(水)12:30~15:30
受講者:糸満市立高嶺中学校2学年(46名)
場 所:糸満市立高嶺中学校 視聴覚室

沖縄の自然や独自の生き物について講話を行い、自然や生き物に対する関心を引き出し、環境保全の大切さに気付くきっかけを作る事を目的に講座を実施しました。

 はじめに、特徴的な沖縄の島々の地形や、気候についての解説しました。島々の成立はプレートの運動とサンゴ礁の働きによるところが大きく、太古から本州やユーラシア大陸と陸続きになったり、孤立を繰り返したりして、多くの島々が散らばる現在の姿となりました。
また、気候的にみると、黒潮が流れる暖かい海に囲まれており、気候区分は亜熱帯海洋性気候に属します。高温・多湿であり、世界の同緯度にある他の亜熱帯地域は乾燥した草原や砂漠が多いがそれに比べると雨が多く大きな森があり世界的に特殊な自然環境を保持しており、陸続きの時代に移動してきた生き物が島という環境に取り残され、それぞれの島で独自の進化を遂げることとなったと解説しました。


 つづいて、沖縄の生き物について、沖縄北部や石垣島、西表島などの「高島」の山地には、亜熱帯性照葉樹林が広がっており、極めて多様で固有性の高い生態系や多くの希少種の生息・生育地となっている事を解説しました。そして、海岸低地から内陸山地までの広い範囲においては広葉樹や針葉樹から構成された代替植生が分布し沖縄本島の中南部は、浸透性の高い琉球石灰岩地層ば多く雨水は地下に浸透し地下水脈が発達し湧き水が独自の水環境を形成し、集落を形成していきました。長い歴史の中でつくられた豊かな自然環境の多くは、人間社会の発展とともに分断されその中で貴重な生き物たちも絶滅の危機に瀕していることに言及しました。

最後に外来種の問題について、高嶺中学校のある糸満市や南城市を中心に、八重山諸島から植木などと一緒に土壌中に卵や幼虫が持ち込まれたと思われる外来種『オオシママドボタル』が広く繁殖していることを説明しました。また、沖縄本島における外来種と在来種の個体数の割合について、南部地域では在来種が減り、外来種へ分布がぬりかえられた所が多くなっており、他の地域でも外来種の割合が増えていることを説明し、これ以上外来種の移入や繁殖を防ぐなど環境保全活動が必要であることを伝え講座を終了しました。