講 師:藤井 晴彦(沖縄自然環境ファンクラブ)
開催日:令和元年7月19日(金)14:00~16:00
受講者:宜野湾市立はごろも幼稚園 教職員 (8名)
場  所:宜野湾市立はごろも幼稚園 

はごろも幼稚園内のビオトープは、大山の湧き水をポンプで汲み上げて水を循環させており、様々な生き物を観る事ができます。沖縄の生き物(外来生物や在来生物)について講話し、ビオトープの観察を通して自然や生き物について理解を深めるために実施しました。
 当日は、天候不良のため講話に切り替えて実施しました。『ビオトープを考える時知ってほしいことー自然ってどんなものか説明できますか?-』をテーマとして、幼稚園のある大山地区の自然について考えることから進められました。
 宜野湾市の地形を地質学的に見ると上層に浸水性の高い琉球石灰岩層があり、下層には浸水性の低い島尻泥岩という2つ地層があります。その境域は地下水が溜まりやすく空洞(洞穴)ができやすい地形となります。また、大昔に幾度となく起きた地殻変動により高台地域から海岸線に向けて地盤沈下が起こり、断層が生じ断層面から地下水が湧き水として流れ、沈下した低地には水が溜まり湿地帯となりました。大山地区は海岸線に近く低地帯にあり、現在でも湧き水を利用し田イモや稲作などの水田が多く、低湿地帯に多く見られる植物群落が残る場所もあります。
はごろも幼稚園周辺は宅地開発が進み過去の姿を失っているが、元々はこの場所も豊富な水と多様な湿地帯の植物が生い茂る豊かな自然があったと考えられます。このようにその場所の自然について考えていくと、その場所にふさわしいビオトープの姿が目に浮かんでくるようでした。また、ビオトープを考えるときに、単に生き物が棲む場所というだけでなく、本来この地に棲んでいたであろう生き物たちが相互に依存しながら分解者から高次の消費者まで連鎖的に繋がりを保ち、循環を維持することのできる見事な生態系を形成できる場所となるように考えることが重要であると解説しました。
 しめくくりに、5つの基本姿勢として①あくまで復元(できるだけ元の自然にもどす)②市民と一緒に(できるだけ多くの人と一緒に作る)③行政・市民団体との協働(行政や市民団体と一緒に作る)④過程が事業(つくりながら残された自然について考える)⑤ここで終わらない(環境教育やビオトープネットワーク事業につなげる)以上のことをビオトープ事業を始める時に知ってほしい事としてまとめました。
 受講者との振り返りでは、幼稚園内のビオトープについて外来生物(ホテイアオイ等)の対処の仕方、周辺住民たちとの連携について等、身近に抱える課題について話し合いがもたれました。「ビオトープについて基本的なことから考えてもらい、改めて回りの自然環境について知ることができた」等の感想をいただきました。