講 師:鹿谷 麻夕、鹿谷 法一(しかたに自然案内)
開催日:令和元年8月1日(木)10:30~15:00、2日(金)10:00~14:00
受講者:一般県民 (19名)
場  所:1日目恩納村屋嘉田潟原、2日目沖縄こどもの国 

海辺の生き物たちを観察し、海岸の砂の採取を行い近年問題となっているマイクロプラスチック調査を行い、人と海の環境のつながりを知り、人の暮らしがどのように自然に影響を及ぼしているのかを考えることで、環境保全について興味関心を引き出し、行動を促す事目的に実施しました。
 1日目は、恩納村屋嘉田潟原にて海の観察会と砂の採取を実施しました。
はじめに、イノーの生き物や危険生物、観察時の持ち物などについてお話しました。海辺の観察時のお約束として、①知らない生き物にはさわらない②岩の下の見えない所に手を入れない③そこにあるものを動かさないの3つの約束を説明し、海辺へ出発しました。
 2グループに分かれて、ナマコやカニ、ウニ等に触れ講師が解説しながらゆっくりと海を歩きました。今年は、海水温が高くなっていて『サンゴの白化』もみられ温暖化についての解説も行われました。
 観察終了後に、砂浜で8地点の場所から砂の採取を行い明日のマイクロプラスチック調査に備えました。最後に今日観察した生き物(ヒラガイ、オカヤドカリ、ルリマダラシオマネキ、ソデカラッパ、オオイカリナマコ等)についてイラストを描きながら振り返りを行いました。
 2日目は、講師が持参した海岸漂着物(ゴバンノアシ、モダマ、プラスチックの漁具等)をひろげ、参加者に気になる物を選んでもらいそれぞれについて、どこからやってきたのか?どんな物なのかを解説し海の漂着物について学びました。
 次に、沖縄県の海岸ゴミの状況や黒潮の流れ、海流の位置関係を示しながら、海のゴミがどんな経路でやってくるのか?さらに海ゴミが生き物に及ぼす影響等、海ゴミについて解説しました。 さらに、この50年間でプラスチックの生産量が20倍になっている事、プラスチックの95%が使い捨ての物であり、毎年800万トン以上のプラスチックが海に流れ込んでいることやマイクロプラスチックになっていく過程を解説しました。
 マイクロプラスチックの問題として、小さくなって砂に混ざってしまい拾う事が困難な状況を
説明し、プランクトンの体内にもマイクロプラスチックが発見され、沖縄の魚や貝からも検出されている事をデータを示し詳しく解説しました。
 沖縄県内の海岸漂着ゴミの事例として池間島、多良間島、座間味島の写真と県内の漂着ゴミのデータを示し詳しく説明しました。
 さらに海ゴミのほとんどを占めるプラスチックのリサイクルの現状やプラスチック製品の生産量の増加として日本では年間約227億本のペットボトル、約300~500億枚のレジ袋が生産されている事を例にあげ、大量生産から使い捨ての現状を示しました。
 
 昨日採取した砂をふるいにかけ、水の入ったバケツに入れかき混ぜ浮いてきたプラスチックを網ですくい、どんなプラスチックが何個あるかを各地点ごとに調べました。
 地点ごとに調査結果を発表しマイクロプラスチックの数を海岸の広さで換算しどれくらいマイクロプラスチックがあるのかを計算しました。
 一見きれいに見える砂でもたくさんのマイクロプラスチックの存在を知り、参加者は驚いた様子でした。
 最後の講師から、『プラゴミ時代を終わらせるためにあなたは何ができますか?小さくなったプラスチックは拾うのは大変なので普段の暮らしの中で使い捨てプラスチックを減らす事から始めよう』と締めくくりました。