講 師:佐藤 寛之(理学博士)
開催日:令和2年7月25日(土)10:00~12:00
受講者:一般県民 (9名)
場   所:恩納村文化情報センター研修室及び仲泊遺跡

恩納村ではSDGsの事業に力を入れており、恩納村文化情報センターにおいて子供たちに向け、仲泊遺跡と周辺の自然を観察することで、自然や昔のくらしに対する興味,関心を引き出す事を目的として自然観察会を実施しました。

はじめに、仲泊遺跡は、沖縄の先史時代に利用されていたと思われる住居跡や貝塚、琉球王府時代に作られた首里を起点に国頭まで続く主要道(宿道)『国頭方西海道』(歴史の道)の一部である『比屋根坂石畳道』など当時の暮らしぶりを垣間見ることができます。また、その周囲の植物をよく見ると元々自生していたものと、その時代の暮らしに合わせて植栽されたと思われるものがある事などを解説しました。

観察会は、遺跡の北側にある『比屋根坂石畳』を登り、琉球石灰岩丘陵の傾斜を蛇行するように造られた石畳道を通り抜け、遺跡西側の国道58号線へと下るコースで行いました。石畳道沿いでは、所々に数百年前に植栽されたと思われる大きく育った『オオハマボウ』,『ソテツ』,『アダン』,『ゲットウ』などが観られました。『オオハマボウ』は方言名では、砂浜を意味する“ユーナ”と呼ばれており、元々は砂浜でよく見られる植物です。樹皮は柔軟で強く漁網や縄として使われ、葉っぱは大きく乾かすと適度な柔らかさが保てるので“尻ふき”として使われるなど、昔から人々の暮らしの中で活用され、屋敷内や村落内に植えられていました。『ソテツ』,『アダン』,『ゲットウ』は、食材や食器、籠や織物に使われていました。その他、自生種と思われる『イルカンダ』や『アオカナヘビ』,『オキナワノコギリクワガタ』,『キノボリトカゲ』などの小動物も観察することができました。

最後に観察会のまとめとして、植物などその地にある自然素材を有効活用していた昔の暮らしぶりは、今日でも役立つことが沢山あり、持続可能な社会を築いていくうえで、自然環境を守ることがとても重要であることを伝え観察会を終了しました。