講 師:佐藤 寛之(理学博士)
開催日:令和元年9月15日(日)13:00~16:00
受講者:那覇市中高公民館・青少年教室小学4年~6年生 13名、大人5名 (計18名)
場 所:石川青少年の家 研修室及び遊歩道

石川岳の自然観察を通して、沖縄の自然の豊かさや面白さを知り体験し、自然環境保全について考え行動をおこすきっかけになる事を目的に実施しました。
 登山コースを予定していましたが、悪天候のため室内にて沖縄の自然や生きものについての講話と遊歩道で植物観察を実施しました。
 講話では、琉球列島の位置関係の地図を見ながら自分たちが住んでいる所や今いる所を確認し、ハブやアマミノクロウサギを例に沖縄にはここにしかいない生きもの(固有種)が多くいる事を解説しました。さらに日本全体の面積に占める琉球列島の割合がおよそ1%に対し、日本国内で見られる爬虫類の半分以上が生息していて、かつそれらのほとんどは世界中で琉球列島にしか生息していない固有種であり、沖縄は世界的にみても生き物の種類が多くいる貴重な場所であることを解説しました。琉球列島を『北琉球』『中琉球』『南琉球』と生物的にみると分けられた場所によって棲んでいる生き物が違うことや大陸との関係性についても言及しました。沖縄に固有種が多い理由として、世界地図とケッペンの気候区分を示し沖縄の位置関係や海流からの湿った空気で雨が多く生き物にとって過ごしやすい環境である事を解説しました。さらに生物相から見える琉球列島の成り立ちについても固有種であるクロイワトカゲモドキと海南島(中国)に生息するハイナントカゲモドキが近い存在である事を例にあげ琉球列島と大陸の関係についても解説しました。
 講話の後は、講師が用意したヘビの標本を児童たちと触りながらヘビの生態について解説しました。
 後半は天気が回復したので遊歩道の植物観察を行いまいした。ゲットウやマタケランの解説やヘクソカズラやコバナヒメガギの匂いを嗅いだり、アキノノゲシを味見したりと五感を使って植物について学びまいした。
 小学生にとって難しい内容かと思いましたが、興味深く講話を聴いているのが印象的でした。琉球列島の成り立ちや植物、生物相など沖縄が世界に誇れる自然環境について県民にはあまり知られていない部分があります。教科書には載っていない事をこどもから大人まで幅広い層に対して沖縄の自然について正しい知識を提供し沖縄の自然を好きになる事から始めていき環境保全につなげていきたいと感じました。