講 師:藤井 晴彦(沖縄自然環境ファンクラブ)
開催日:令和元年10月15日(火)11:10~13:00
受講者:県立嘉手納高等学校3年生 (13名)
場 所:読谷村渡具知の浜

嘉手納高校3年生を対象に、「干潟の生き物観察会」を通して干潟の自然環境について学び、環境保全の大切さに気付くきっかけを作る事を目的に実施しました。
 はじめに、渡具知の浜付近の地形や干潟の環境について解説しました。渡具知の浜は比謝川の河口傍にあり淡水が流れ込む河口付近はサンゴが棲みにくくサンゴ礁があまり発達していないが、河口から離れるにしたがってサンゴ礁が発達し沖合まで広がっています。沖縄の島々には日本本土や中国大陸のような大きな川がなく陸地からの流出物が少なくサンゴにとっては比較的棲みやすい環境にあるため、島を囲むようにサンゴ礁が広がり、浅瀬(干潟)を造り海草や海藻などの植物たちにとって生きるために必要な条件(照度、水温等)が整い豊かな藻場を形成しています。また、『沖縄の海はきれいだ』とよく言われるが、透き通るような海水は生き物たちにとっては栄養分が少なく棲みにくい場所となります。
しかし、沖縄の海は海水が透き通っているにもかかわらず、干潟が発達しているためその中の藻場が動物たちに必要な栄養分を補い、様々な生き物たちが棲む豊かな生活環境を造り出しています。そして渡具知の浜にも広い干潟と豊かな藻場があり多くの生きものたちを見る事ができることを説明しました。
 注意事項として干潟には『イモガイ』など有毒な生きものもいるので、知らない生き物を発見したときは触らず確認することを伝え出発しました。
 観察会では、干潟の大きな潮だまりの砂地に、『リュウキュウスガモ』などのアマモ類などで形成する藻場を確認し、その周辺の岩礁には『シカクナマコ』『クロナマコ』『イモガイ』『タカラガイ』『クモヒトデ』『ナガウニ』『クロウニ』や多種の甲殻類など様々な種類の生き物を観察することができた。
 観察会終了後。締めくくりに現在の沖縄では護岸整備や都市開発などを理由に、今日見たような自然豊かな干潟が埋め立てられ自然破壊が進んでおり、先日のニュースでは「沖縄のジュゴンが絶滅したのではないか」ともいわれていることに降れ、海岸地帯の環境保全の重要性を伝えました。
 最後に生徒代表から挨拶があり、「生物の授業で生き物の生態系や環境保銭ついて学んだが、今回の観察会で実際に生き物たちのつながりや自然を守る事の大切さを実感する事ができた」と感想が述べられました。自然と生き物の関わりや環境保全に対する関心がより一層深まった様子がうかがえました。