講 師:鹿谷 麻夕、鹿谷 法一 (しかたに自然案内)
記 録:田場 美妃子、比嘉 香織、大城 恵利 (沖縄県地域環境センター)
開催日:令和7年2月2日(日) 14:00~16:00(1日目)
令和7年2月16日(日)9:00~11:30(2日目)
受講者:一般県民 子ども~大人 1日目 (18名)、2日目(18名)
場 所:浦添西海岸カーミージー (1日目)
沖縄こどもの国チルドレンズセンター2F(2日目)
一般県民 子ども~大人を対象に、自然と生き物に関する理解を深め、
環境保全に対する意識を高めることを目的に、連続講座を実施しました。
沖縄の海では、近年の気候変動によるサンゴの白化や、潮間帯に生育・生息する様々な生物種の
多様性の低下など、サンゴ礁生態系の変化が大きな問題となっています。本企画では、海の自然を
見る・味わう・触るといった体感を通して、海の自然と生物への理解を深めること、そこから
私たちの海への関わり方を見直すきっかけを得ることを目的に、1日目は冬から春にかけて成長する
海藻類、2日目はサンゴ礁海域で見られる貝類をテーマに、親子を対象として食用としても利用される
これらの生物を体験的に学べる講座を企画・実施しました。
【1日目】カーミージーでアーサの海体験
サンゴ礁の潮間帯から浅瀬(イノー)にかけての岩場で、緑藻の一種で食用となる
ヒトエグサ(アーサ)の採集と、その周囲に生息する生物の観察を行いました。
カーミージー海浜公園駐車場に集合し、地域環境センターの説明、講師紹介の後、持ち物や服装、
海の生き物の観察方法について確認し、海岸に移動しました。
海岸入口にて里浜保全条例の掲示板を示し、生物を保全しごみは持ち帰ることを説明。
岸辺では、潮の満ち引きにより生物の分布が帯状になる「潮間帯」の環境を解説し、アーサが分布
する高さや、よく似た藻類との見分け方、同様に帯状分布を見せる貝類についても説明しました。
その後、海草藻場を観察しながら沖の岩場に移動し、アーサの採集を行いました。藻場の底生動物は
冬場ということもあり少なかったですが、素手で触れられる生物については、生きている感触を
確かめてもらいました。沖の岩場は例年に比べアーサの生育があまり多くなく、生えている場所は
限られていましたが、参加者はアーサが生える場所を探して無心に集めていました。その間も、
アーサが少ないのは昨年夏の高水温の影響が考えられることなど、生き物の生態や自然と人との
関わり等を説明しました。
集合場所に戻った後、準備していた温かい出汁に採れたてのアーサを入れて配り、海の恵みを
堪能してもらいました。「美味しい!」と、お代わりする子どもたちの様子が見られました。
最後にふりかえりと質問の時間を設け、1日目を終了しました
【2日目】貝の話と貝殻磨き体験
サンゴ礁海域に生息する様々な貝類の標本に触れながら、貝類の分類や生態に関するクイズと
解説、琉球漆器の螺鈿細工の材料として利用されるヤコウガイ貝殻片を用いたピカピカ磨き体験を
実施しました。地域環境センターの説明、講師紹介の後、貝類(軟体動物)の生態をわかりやすく
伝えるために、まずクイズを行い、貝類について考えてもらう時間を設けました。
その後、スライドを用いて様々な生態写真を示しながら答え合わせを行い、貝類の分類や生態など
を解説しました。さらに、貝殻の形やつくり、成長の仕方について、イラストや貝殻の標本を示し
ながら解説しました。
座学後は早速、耐水サンドペーパーの貝殻磨きセットを配布し、講師の説明を聞きながら、自分で
選んだヤコウガイの貝殻片を磨く体験を行いました。30~45分程度磨いた後、講師が最後の艶出し
とペンダントの仕上げを実施。どの貝殻片も照明が映り込むほど滑らかに磨かれ、世界に一つだけの
お守りと喜ぶ子どもも居ました。
近年はサンゴ礁の貝類が激減し、海岸で新鮮な貝殻が殆ど拾えなくなったこと、今回展示した貝殻は
30年ほど前の物であることなどを説明し、海の環境変化に気づき、海を見守ってほしいと伝え、
最後にアンケートを行い、終了しました。